あきはママ~薬剤師の子育て奮闘記~

4歳の女の子と26週5日で産まれた874gの男の子、そして今お腹にもう一人。ブログは第二子のことがメインです。妊娠中期、出血。切迫早産→慢性早剥羊水過少症候群(caos)。

NICUレポ66〜せいちゃんお空に〜

こんにちは

 

あきはママです。

 

8/1

 

せいちゃん生後4ヶ月2週(修正1ヶ月2週)

 

 

看護師さん達と遊ぶ

前日深夜にお呼び出しがかかってからそのまま朝を迎え、NICUも日勤帯の人たちが出勤。

担当ドクターも様子を見にきてくれた。

 

ただ、この日は土曜日ということもあり、様子を見にきてくれたと言っても

おそらくそれは勤務外にわざわざ来てくれた形。

程なくして姿は見えなくなりました。

 

せいちゃんは明らかに昨日よりは悪くなっていたけれど、、

なんとかSPO2値上肢65/下肢45で持ち堪えている感じ。

 

普通で考えたらありえないSPO2値で、よっぽど悪い状態なんだけど、、

今までのせいちゃんを見てきたから

【よし。まだここから。。】

そう思っている自分がいました。

 

しばらくして、居残っていた夜勤明けの看護師さんたちがせいちゃんのお部屋に遊びにきてくれました。

生まれてからずーっと

調子良い日は病院のスマホでたくさん写真を撮ってもらって遊んだり

調子悪い日は一晩中付き添って体交や排痰をしてくれたり

どれだけお世話になったか分からない看護師さんたち。

 

勤務上りの前に一声かけに来てくれることも多かったです。

 

いつも通りせいちゃんを中心にわいわい。

夜勤明けハイやね、と言いながら、、

個室内はとっても楽しい雰囲気に包まれていました。

 

せいちゃんが大好きな看護師さんたち。

明らかにみんなが居てくれることが嬉しいのか、SPO2値も80/60まで上昇。

 

「すごい。すごい。さすがやねー。」

と言いながら、看護師さんたちは一向に帰る気配なく、、

遊びに来てから1時間は経ち、もうすぐお昼になろうとする時間。

 

「せいちゃんー。私2連休挟むから今度会えるん3日後やねん。それまで待っててやー。」

「私もそうやねん。せいちゃん、可愛いお顔見せてな。」

そう言いながら帰り難そうな看護師さんたち。

 

私は『せいちゃん、また元気になって3日後会えるやんねー。

元気になって、看護師さんたちにいっぱいいっぱい遊んでもらうんやんね。』

と答え、、

 

今はちょっとしんどいけれど、看護師さん達がお休みの間いつでも声を聞いて元気が出るように。

と、ボイスレコーダーで看護師さんたちの会話を録音させてもらいました。

 

それからみんなでわいのわいのとお写真を撮って、結局夜勤の看護師さんたちはお昼直前に帰って行きました。

 

今日日勤担当の看護師さんは

「みんな元気すぎるやろ。明らかに夜勤ハイやなー。

でもせいちゃんが嬉しそうでよかった。」

 

再びの徐脈

みんなが帰って、その後12時のケア。

その時ずっと寝てたせいちゃんの目が急にぱちっと開いた。

焦点は合わずぼんやりした感じだけど、大きいお目目がぱちっと全開に。

 

『せいちゃん、せいちゃん、久しぶりにママのお顔見たねー。』

と思わず写真。

後でこの時写真を撮っておいてよかったな、、と思いました。

最後に見たぱっちりお目目でした。

 

その直後少しモジモジと動いたせいちゃん

そのせいか再び脈が70台まで落ちる。

SPO2値も40/30くらいまで急落。

 

当直のドクターが急いで鎮静麻薬のフェンタニルとNOの濃度UP。

徐脈はかろうじて治ったけれどSPO2値は戻らず。

この時もうNOの濃度は40ppmにまでなっていました。

 

 

お姉ちゃん面会

今日はまた面会制限解除で誰でも面会OKをもらっていました。

お姉ちゃん、3日前に発熱したけれど、、その後は解熱しているということで特別にOKが出ました。

そしてずっとサポートしてくれている私の妹も。

(そもそもまだこの時もNICUは面会制限厳しい時。本当は母のみ。)

 

慣れたもので意気揚々と現れたお姉ちゃん。

せいちゃんの方は、、、かなりぐったり。

もう目を開けるのも辛いのか、半目の状態、、

でも大好きな母乳綿棒だけはしっかり口の中に収めて。。。

 

「せいちゃん、せいちゃん」

そう呼びかけヨシヨシと頭を撫でてくれるお姉ちゃん。

ドクターが診察に使うためせいちゃんのベッドにかけてある聴診器を使って、

自分がさっき入室時受けたように、せいちゃんにモシモシしてあげていました。

 

妹は東京で仕事があるということで、名残惜しそうに先に病院をあとに。

 

それからせいちゃんとお姉ちゃんに絵本をいくつか読んで、、

わいわい家族4人で過ごしました。

 

 

体温が34℃台

お姉ちゃんはパパと帰り、そのまませいちゃんは16時のケアへ。

家族パワーでまたせいちゃんに元気を与えられたら、、、

と思っていましたが、SPO2値は上肢が40〜50台、下肢は30〜40台。

相変わらずぐったり。

 

負担を与えないよう慎重にお熱を測ると、、

34℃台

確かにせいちゃん少し冷たいと思っていたけれど、、

そんなに下がっているなんて。

 

ごめん、せいちゃん、すぐ気づかなくてごめん。

急いでバスタオルを上に何枚か重ねる。

 

「体温調節が難しくなってきているかも、、、

前にせいちゃんが初めて保育器を出て添い寝ベットに来たときに使っていた電気毛布、

あれ小児病棟の物をお借りしててんだけど、また貸してもらえないか聞いてくる」

と看護師さん。

 

こんなに冷たくなって、寒かったろうに、、

ごめん、ごめんと言いながらせいちゃんを包むこんで待っていました。

 

しばらくして看護師さんが持ってきたのはかなり大きいサイズの電気毛布。

おそらく小学生の子供とかでも使えそうなサイズ。

(最初にレンタルしていたのは縦60センチ×横50センチくらいだったかな、、ちょうどいいサイズだった。)

 

「ごめんせいちゃん、今このサイズしか無いらしいんよー。」

そう看護師さんも言うものの、、

やっぱりちょっと大きすぎる。。

こんな大きいのをせいちゃんの下に敷くとなると、少し大掛かりな作業になる。

何より今せいちゃんは少し動かすだけでも負担になるだろうから、、

 

うーん、、、、

 

悩んでいると

 

看護師さんが

「そうだ!!」

と言って、電気毛布をぐるぐると巻いて、せいちゃんの周りにぐるっと沿わせるよう置いた。

 

確かにこれなら周りから熱がじんわり来る。

真下に置くよりは少し弱いかもだけど、何より移動の負担が無いし良い!!

 

せいちゃん、これで暖かくなるよ。

 

せいちゃんを包み込み続け、、夕方に。

せいちゃんは明らかに今までで一番弱っている、、

私はそんな状況なのに、今までのせいちゃんの奇跡を過信しすぎていたのかもしれない。

 

【また、数日持ち堪えればゆっくり回復してきてくれる】

 

勝手にそう信じ込んでいた。

だから、のんきにこの日もパパと何時に交代するか相談。

 

【一度実家に帰って、お姉ちゃんと晩御飯&寝かしつけをしてからまたせいちゃんのところへ来よう。】

 

もうせいちゃんは体温も上げきれなく、徐脈にも度々なって、、

いっぱいいっぱいなのに、、、

ママだけのんきに。。。

 

その後パパが早めの夕食を取って来て交代。

 

私はせいちゃんに

「また後でね」

と声をかけ実家に。

なんて、あっさりとした声かけだったろう。。。

 

 

お姉ちゃんとご飯を食べ、お風呂に入り、、、

と、まったり過ごしていると、、

 

お風呂中にパパから着信が。

 

 

できたらすぐ来て

慌てて出ると、

「今日の当直の先生が、せいちゃんの脈の波形が怪しくなってきているって。

できるだけ早くでいいしみんなで来れる?」

とのこと。

『分かった。すぐ行く』

と言い、急いでお風呂を上がり、お姉ちゃんを着替えさせる。

 

自分でもすごく冷静だった。

全然さっきまでせいちゃんが回復していく姿しか思い描いていなかったにも関わらず、、、

 

お姉ちゃんの髪を乾かしながら、母にもパパの電話の内容を伝えると

「あんた!そんなんもういいから早く走っていき!!!」

と、パニックになった母に怒られる。

 

私は冷静、、をもしかして気取っていただけかもしれない。

感情が爆発して

「そんなん分かってる!でもお姉ちゃんも病み上がりやし、びしょびしょの状態でこんな夜連れ出せへんやろ!

どっちも私の大事な子やねん!!」

と、よくわからないキレ方。

 

結局、母が

「私が乾かしてちゃんと連れていくから、あんたはとりあえず行き!お願いやから!!」

 

と送り出し、、、

 

後は覚えていませんが、ひたすら走ってせいちゃんのところに着きました。

 

 

みんなに見守られて

せいちゃんのところに駆け寄ると、パパの横で相変わらずぐったりしたせいちゃん、体もやっぱり冷たいままでした。

私が来たのを見た当直ドクターがこちらに来て説明してくれました。

 

ちょっとだいぶしんどくなってきているサインの波形が脈に出てきている。

もうたくさん頑張ったせいちゃんだけど、、少し厳しい、、

と。

 

看護師さんがせいちゃんを抱っこさせてくれました。

ぐったりしているせいちゃんに

 

せいちゃん、せいちゃん、ありがとう。

 

と声をかけ続けました。

 

程なくして担当ドクターが息を切らして駆けつけてくれました。

次いで、お姉ちゃんと私の母。

それに、最初せいちゃんに付きっきりで担当してくれ、途中産休に入られた看護師さん、、

生後1ヶ月の子供がいるにも関わらず駆けつけてくれました。

(「何か本当に万が一のことがあった時は、私も行っていい?」と以前聞かれていたので、

おそらく病院の方から連絡を受けて来てくれたのだと思います。)

 

担当ドクターも、看護師さんも、、息を切らせ、汗だくになりながら。。

 

せいちゃん、せいちゃんの大好きな人がみんないるよ。

よかったね。

みんなの声、聞こえてるかな。

 

せいちゃん、大好きだよ

せいちゃん、ママの声覚えていてね

せいちゃん、おつきさまこんばんはの本、読んだね

もしお空に行って、できたらおつきさまの近くにいてね

ママもパパも、お姉ちゃんもすぐ見つけられるから

 

せいちゃん、大好きだよ

 

私が来ておよそ1時間後、、

せいちゃんは最後お姉ちゃんの腕の中で息を引き取りました。

 

パパはせいちゃんが生まれてから初めて声をあげて泣きました。

今まで、どんなに辛いことを面談で言われても、せいちゃんの調子が悪くなっても、、

絶対に涙を流さなかったパパ。

せいちゃんを抱きしめて泣きました。

 

しばらくして、、

『先生、管がついていない、、せいちゃんの綺麗なお顔が見たいです。』

と私が言い、

そこで先生がせいちゃんの死亡確認を行いました。

 

あとは看護師さん達により、手際良く挿管していたチューブなどが外されます。

 

生まれてから初めてみる、何も医療器具が付いていないせいちゃんのお顔。

すごく綺麗でした。

 

やりたかったこと、、ちゃんとやってあげたい。

 

と、これも生まれて初めてのお風呂に入れてあげました。

体重や身長を計り、大きくなったねー、とみんなでわいわい言いながら

オムツを履かせ、お洋服を着せてあげました。

 

看護師さんもドクターも

「子供をお風呂を入れているときに呼び出しがあって大慌てで来た」

『うちもです。一緒ですね』

など言いながら。

 

一通りせいちゃんの身なりが整うと、ドクターから両親にお話が。と。

せいちゃんはお姉ちゃんと母、それに看護師さん達に少しの間任せて

私たちは何度もお世話になった面談ルームへ。

 

ドクターたちからは

今おおまかに考えられる今回の原因と、そしてこの後どうするかの相談でした。

簡単にいうと

・CTを撮るか

・解剖するか

 

CTならばせいちゃんにとっては負担はないだろうけど、解剖だと当然だけど、綺麗な体にメスを入れることになる。

原因も“感染症が原因で慢性肺疾患と肺高血圧で弱っている肺がもたなかった”

というところから大きく変更はないだろうし、、

もうたくさん頑張ったせいちゃんにはあまり痛い思いはさせたくない。

でも、今後の医学に繋がるならと、CTだけお願いしました。

 

それからはドクターたちにCT撮影のためにせいちゃんを預け、私たちは先に玄関付近でせいちゃんを待つことに。

玄関で待っていると、産科のドクターと看護師さん達が大慌てで走ってきました。

その看護師さんは私がMFICUで散々お世話になった看護師さん。

マグセントで吐きまくりな日も、早産の恐怖で精神的に参っている時も、

明るい彼女に日々励まされて入院生活を乗り切りました。

「久しぶりー!!」

「いつもカルテだけだけど見てたよ。ピクニックとか『え?どゆこと?』って思ってた。」

単純に会えて嬉しかったです。

 

私とせいちゃん、合わせて半年過ごした病院。

お世話になった人がみんな来てくれました。

 

そして、そこにCTを終えたせいちゃんが到着。

 

みんなでそのまま病院を出た時は、もうなんやかんやで日付を超えていました。

深夜であったことと、せいちゃんはタオルに包み込めるサイズだったので、そのまま歩いて実家に帰ることにしました。

 

出口のところでNICU、また産科のスタッフさんが勢揃いでお見送りしてくれました。

 

最後、ずっと毎日平日も土日も関係なく様子を見てくれた、せいちゃんにとって第二の母である担当ドクターが

せいちゃんにおでこをつけて

せいちゃん、バイバイ

と言ってくれました。

 

月夜の中に浮かぶその絵は

あまりに綺麗で、あまりに尊くて

今まで私が見た景色で一番綺麗でした。

写真にはもちろん残っていないけれど、今でもその絵を思い出せます。

大切な私の心の思い出の一枚です。

 

たくさんの人に見送られ、せいちゃん初めてのお外。

日中はとても暑い真夏の1日でしたが、夜風が吹き、気持ち良かったです。

そして、見上げるととても綺麗な月が出ていました。

満月に近い大きな月。

せいちゃんが迷わないよう、大きく、明るく照らしてくれていました。

 

初めてのお散歩を噛み締めるよう、みんなでお家まで帰りました。

 

せいちゃん、せいちゃん、大好きだよ。